2017 / 08
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何のつながりがあるんだ、というタイトルです。しかし実は、個人的に。とても深いつながりのあるものなのでした。

「風邪とピアノ」に書きましたが、ゆずはらは教会でピアノを弾いています。

朝早く行って、少し練習をしたりもします。と言うのも、家にあるピアノと、教会にあるピアノでは、音が微妙に違う。鍵盤を押した時の感触も少し違います。なので、違和感を感じないように、ちょっと弾いて慣れておくわけです。

ある日曜日。ゆずはらは電車に乗って教会に向かいました。

冬でした。寒くなり始めた頃でした。

朝早いので、人はまばらです。眠いなとか寒いなとか思いつつ、電車に揺られていると……。

いきなり電車が止まりました。

線路の凍結でしばらく動かせないと言われました。はあ!?

しかも電車降りろと言われました。いや、ここどこですか!?

普段、降りない駅に降ろされ、電車は行ってしまいました。

小さな駅です。駅の中に一応、新聞やらお菓子を売ってる店はあるものの、販売員は一人のみの、小さなもの。

そして、待合室がない。

……………。

冬です。

線路が凍結するぐらいの寒さです。

ベンチに腰掛けて寒さをしのごうとしましたが、防げるものじゃありません。

一応、一時間ぐらいしたら動くよ~、と言われました。それまで待て、とも。

しかし、この時私は、ある事に気がついて引きつりました。

余裕を持って来たから、何とか礼拝には間に合う。

でも、……この寒さでは指がかじかんで。電車が動くようになった後、教会に駆け込んでも、まともに動くかどうかわからない。

教会に連絡を取りました。事情を説明して、間に合うように行くが、もし間に合わなかった場合、誰かに奏楽を頼んで欲しいと。

次に購買店に走りました。何か指を温めるものないか! と思って。

「カイロありますか!」

「あ~、まだ入れてません~」

何て事だ。いきなりの寒さだったので、店の中の品物はまだ、冬用じゃない。

傘はあるのに! カイロがない!

売られている商品を見回していた私は、一つのものに目を止めました。そうして言いました。

「そこの肉まん、二つ下さい」

そうして電車が来るまでずっと、私は肉まんを握りしめ、指を温めていたのでした。

結論を言いますと、ぎりぎりで間に合いました。指もかじかむ事無くきちんと動きました。ピアノを弾く私の荷物の中に、冷えた肉まんが入っていたのを、後から教会に来ていた小学生に見つけられ、ちょーだいちょーだいと言われたのが印象深かったです。

肉まんって、大事だよ!

ちなみに缶コーヒーではダメです。金属なので、熱すぎて握っていられなくなります。
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今日、ピアノを弾いてきました。

私は教会に通っていまして、『奏楽』を担当しています。礼拝の中での音楽担当者です。元日は、教会で『元旦礼拝』があります。ピアノを弾いてきました。

キリスト教をあまりご存じない方でも、音楽が良く流れているのは何となく、わかるのではないでしょうか。現在の(いや過去もですが)キリスト教では、音楽が、礼拝の中で重要な位置を占めています。

それはさておき。

奏楽者と言うのは、孤独な役目です。礼拝の中でのBGMと伴奏を、一人で引き受けています。優先せねばならないのは、

「己を出してはならない」

これです。

目立ってはならないのです。自分のコンサートではありません。歌うのは、集まった会衆です。上手な人もいますが、ほとんどは、義務教育で音楽やりました、ぐらいの人です。中には音をはずす人だっています。音が取れなくて、うろうろしてしまう人もいます。

彼らが歌いやすいように、弾かねばなりません。

メロディははっきりと。伸ばす音がある場合、リズムが取れなさそうなら、即興で装飾音を入れ、リズムが取れるようにする。歌う人の様子を見て、年配の人が多いようなら、全体的にテンポを落とす。そうしてとにかく、自分を出さない。

個性的な音楽なんてやろうものなら、誰も歌えなくなるからです。

ひたすら影のように弾く。それが奏楽者です。

そうして、あくまで影の存在の奏楽者は、称賛を受ける事もありません。歌う人にとっては、できて当たり前。礼拝に参加する人には、牧師の話を聞くのがメイン。

礼拝が途切れることなく、スムーズに流れるように、演奏する。心の乱れた人が、落ち着けるように。疲れた人が、ほっとするように。決して目立たず、やわらかく、心に沿うように。流れるように。

だから称賛はない。称賛の声のないのが逆に、奏楽者には「やり遂げた」という事なのです。

しかし、奏楽者が目立ってしまう時があります。

間違えた時です。

静かな礼拝の中で音を間違えると、ものすごく目立つ。

視線が突き刺さります。ぐさぐさきます。

弁解させていただくと、礼拝で歌われる歌が決まるのは、うちの教会の場合、木曜日の夜です。連絡は金曜日の朝、遅い時には土曜日に来ます。

で、日曜日に本番が来ます。

練習できる日が一日、二日しかありません。

二日もあるんだから、良いじゃ~ん。と言われるかもしれませんが、一日も取れない時もあります。以前、連絡が遅れて土曜日の昼に来た時、私は仕事で夜十二時まで家に帰れませんでした。帰ったあと、二時まで練習して、次の日六時に起きて練習して、教会に行って弾きました。

ちなみに私のピアノ歴は、バイエル終わってブルグミュラーまでです。最初の一つか二つで終わりました。先生が結婚したので、引越してしまったのです。それきりやっていませんでした。真面目に習っていたわけでもないのに、なぜ今弾いているのだろう。そんなものなのか、人生って。

話題が逸れました。ともかく。奏楽者のプレッシャーは、ものすごい。

間違えてしまった時の、自責の念もものすごい。

だから、奏楽が順番が回ってくると、いろいろいろいろ、悩みます。体調の管理ももちろん、しなければなりません。よほど運の良い教会以外、音楽の担当者はどこでも大抵、素人に毛が生えたぐらいの人が担っています。中学までピアノ習ってましたー、という人は、「楽器ができる人だ!」と言われて即座に戦力に組み込まれます。バイエルしかやってなくても。

で、その日、弾くはずだった人がいきなり来れなくなると、他の人が弾かねばなりません。考えてみて下さい。何の準備もなく出向いた先で、いきなり楽譜渡されて、「今日の礼拝お願いします~、これ弾いて」と言われた場合、どれだけ愕然とするか。プロならともかく! プロならともかく、バイエル程度の人間にそれを言いますか!(された事あります)

どれだけ大慌てになるか、みなさんわかっているので、できるだけ、体調管理に気をつけて、自分の順番の時には休まないようにするわけです。

それでも風邪を引く時はある。熱が下がらない時はある。

ある日、熱が下がらない状態で、私は奏楽を担当しました。念の為、風邪薬を飲みました。眠くならないものを選びました。

しかし。異変が起きました。

ピアノを弾いている最中に、いきなり耳が聞こえなくなったのです。

後でわかったのですが、市販されている風邪薬には、耳が聞こえにくくなる副作用の出るものがありました。私が飲んだのはそれだったようです。

聞こえなくなる、と言っても、ちょっと音が遠いな、ぐらいで、日常生活には不自由が出ないレベルです。普通なら。

しかし、演奏している真っ最中の人間に、その現象が起きたらどうなるか。

パニックになります。

演奏中は神経使っています。目で音符を読みながら指を動かし、耳で自分の音と、歌っている人の声の様子を確認しながら弾いています。同時に四つ以上の事をしている。それをうまく調整しながら動かす、鍵の役割をしているのが、耳です。普段以上に、耳に神経使ってもいるわけです。それがいきなり、聞こえなくなる。

それまで普通に聞こえていた音が、聞こえない。なぜなのか原因がわからない。でも聞こえない。この、原因がわからないというのが恐怖の原因なのですが、わからないからパニックを促進します。余計、神経に負担がかかります。さらに聞こえなくなる、という悪循環が起こります。

それでも演奏は続けなければならない。みなさん、歌っている最中です。指を止めたら、音が途切れる。歌えなくなる人が出てしまう。

血の気の引く思いで冷や汗にじませながら、鍵盤を、楽譜を見つめました。一瞬で決断しました。

勘で弾こう。

その後は、自分がどんな音を出していたのかわかりません。聞こえなかったので。

後から人に尋ねてみると、一瞬、音が乱れたけれど、あとは普段と変わりなかった、との返事でした。違和感はなかったそうです。

その事を話すと言われました。

「ベタなドラマのようだ」

……アレですね。悲劇のヒロインっぽく、ああっ、音が聞こえない! とか言いつつ、演奏するワケですね。それでもピアノを弾くわ、ワタシ! とか言いつつ。涙ふり飛ばしながら。

でも礼拝の奏楽って、ドラマあったら逆に困るポジションなんだって……。

とりあえず、それ以来。風邪薬は、漢方薬を飲むようにしています。

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ゆずはらしの

Author:ゆずはらしの
「小説家になろう」にいくつか小説を上げています。

公民館で絵を教えています。水彩画。

紅茶、ハーブ、アロマなどが趣味です。でも手際はあまり良くない。お茶は淹れられるんだけどね。お茶はね!

思いだしたように記事を増やしてゆく予定。

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