2017 / 08
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「そんなところに」を読んだみーやさんから、

その伯爵令嬢の話読みたい!

というリクエストがあったので、書いてみました。会話文です。

きっと、メロメロのきゅんきゅんな話になるよね~という、彼女の願いは果たして叶ったのでしょーか。




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目の前には、超絶美形。漆黒の髪に深紅の瞳、着る人を選ぶだろうデコラティブな衣装をあっさりと着こなし、気品すら漂わせている。うわ足長っ。腰の位置高っ。

ごてごて飾りがついたマントをひるがえし、かつん、かつん、とブーツの音を響かせながら、階段を降りてくる。なんの番組。なんの映画。似合いすぎだろう。決まりすぎてて厭味っぽいぞ。ちょっとアレだけどね。頭にねじくれた角あるけどね。背中に真っ黒な羽あるけどね。触ったら痛そうな、爪が長く伸びてるけどね!

あたしの目の前まで来ると、超絶美形はにこりともせずにこちらを睥睨し、言った。


「そなたがこたび、召喚されし勇者か……よくぞ、この城までたどりついた」

「他力本願な王様始め、この世界の住人にはえらいメーワクしたわ」


伝説の聖剣とやらを構えながら、あたしは言った。


「フツーの女子高生呼び出して、世界の為に働けって、何様? この世界の事は、この世界の人間がどうにかするものでしょうが! こんななまくら一本で、右も左もわからない人間を城からほうり出すって、やる気ないにも程があるでしょ〜! 国民死なせたらバッシングあるから、異世界から勇者呼び出して戦わせてるって、思い切り言いやがったわよ、あのクサレ王!」


それなりに美形だったが、やる気のなさが丸わかりの祝福をおざなりにされ、城から追い出された。予算もないとかで、持たされたものは、この聖剣の他には服が一式と三日分の食糧だけ。おかげで魔王城のある荒野にたどり着くまで、アルバイトをしながら食いつなぐしかなかった。


「皿洗いと踊り子が本業になりかけたわよ、おかげで!」


バレエを習っていて良かった。


「その境遇には同情するが……、ここまで来たという事は、吾と戦う意思ありと見て良いか」

「ああ、まあ、あんたには恨みはないけどね! 変な首輪つけられちゃってさ、あんたと戦って倒さないと、あたしが死ぬらしいのよ」


あたしは自分の首を示した。クサレ王と腹黒神官があたしにつけた、黒い首輪がそこにあった。

魔王を倒すか、あたしが死ぬかしないと外れない。そして、一年の期限が過ぎると、自動的にあたしの首を絞めて命を奪う。こんなもろに呪いのアイテムを嵌めないと安心できないなんて、どれだけ他の勇者に反逆されてきたんだ。その勇者たちの気持ちわかるけど!


「死にたくないからここまで来たわ」


逃げ出す事すらできないから。


魔王は、あたしを見つめ、ふうと息をついた。


「まこと、愚かしい行いを繰り返すな、人の国の王とその取り巻きは。

哀れとは思うが、勇者よ。吾も殺されてやるわけにはゆかぬ」

「そうだろうね。あたしもこんな理由で殺しに来る人がいたら、全力で嫌がるし。でも、死にたくないからさ」


剣を構える。


「だから付き合ってよ、悪いけど。

礼儀らしいから、名乗るわね。あたしは透子。神山透子。食べ歩きが好きなただの女子高生……だった」

「トオコ」


魔王は、不思議な発音だと言いたげに、あたしの名前を繰り返した。


「礼にのっとり、吾も名乗ろう。

北の荒野、魔の一族を統べる王、

タラチ・イアンデス・グロウガリアス」


時が止まった。


「……は?」

「タラチ・イアンデス・グロウガリアス」


もう一度、律儀に名乗ってくれた。なんかいい人だな魔王! いやそれより。



「……………タラちゃんです?」



玲瓏たる声音と麗しい発音で名乗られたその名は、

一般庶民で、この世界の言語の発音に慣れていないあたしの耳には、某国民的アニメの登場人物の名前にしか聞こえなかった。

こんなに美形なのに、タラちゃん!

魔王さまなのに、タラちゃん! 

いとこの名前はイクラちゃんで、猫の名前はタマですか! そうしてお魚くわえたドラ猫を、追いかけたりするんですか〜っ!!!


「えっと、あ〜……」


走馬灯のように走る、元の世界のアニメの主題歌。霧散しかけた気力をなんとかかき集め、あたしは剣を構え直すと、魔王に言った。



「お母さんの名前は、サザエですか!」



……でも、やっぱり混乱していたらしい。




* * *




ピンポイントでギャグが書きたくなって、書いてみました。


とりあえずこのあと、魔王さまは首輪を外してくれ、元の世界に帰る方法を探してくれます。

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レポート山積みです。ちょっと体調崩して横になっていたら、山になっていた。

……文字を見ると、めまいと吐き気が止まらない状態だったんだよ……。

ちょっとずつやろう。ちょっとずつ。

それでも気持ちを新たにしたり、決めた事とかあるので。まあ、何とか。立ち直れそうです。

棚をつけよう! 

とかね。必要だよ、棚。

と、いう訳で、ストレス発散小説。連載中のものに取り掛かれないんで、そっちのストレスもあったりする。横になっていた間、頭の中でぐるぐる考えていたネタでもありますが……、

おバカさんな話が書きたい! の一心で出来た話です。ではどうぞ~。


☆★☆


 美しい緑に囲まれたそこは、のんびりとした校風がうたい文句の、中高一貫教育が行われる私立の学校だった。

 私立A花(えいか)学園。

 山田(やまだ)圭子(けいこ)15歳は、この学園の高等科一年D組に所属する、ごく普通の家庭で育った、平凡な少女だった。

 運動神経はそれなり。成績は可もなく不可もなく。

 自分ではちょっとは可愛いのじゃないかと思っているが、アイドルのような美人という訳でもない。

 それなりで普通。

 それが彼女の、自分自身に対する評価だった。それで良いと思っていたし、そんなものだとも思っていた。

 毎日は、少しばかり退屈で、けれど平穏に過ぎてゆく。

 そんな日々が続くのだと思っていた彼女に転機が訪れたのは、とあるニュースを友人から聞いてからだった。



「おはよ~、ケイちゃん、知ってる? 交換留学生が来るんだって!」

 朝、登校して教室に入ると、友人の田原(たはら)直美(なおみ)が近寄ってきてそう言った。

「おはよ、ナオ。交換留学生?」

「うん、うちの学園、どっかの国と姉妹校じゃない? で、時々、生徒を交換で留学させるの。うちから何人か向こうに行って、向こうから何人か来るわけ」

「へ~……」


 高校からこの学園に入った圭子には、初耳だった。


「うちのクラスだったら良いね~。ハンサムな男の子だったらウレシイな☆」

「そんな小説みたいな話、あるわけないじゃない」


 そう言いつつ笑っていると、チャイムの音が響いた。HRの時刻だ。慌てて自分の席につく友人を見やり、圭子も席についた。

 やがて、担任の教師が入ってくる。


 ざわっ。


 教室内が、ざわめきで満たされた。彼に続いてもう一人、白人の少年が入ってきたからだ。


「え、ウソ!」

「おお、留学生!?」

「うちのクラスだったの?」

「いや~、カッコイイ!」

「ってか、カワイイ!」


 男子生徒は珍しげに、女子生徒は興奮気味に、声を上げている。

 たたずむ少年はすらりとして背が高く、白っぽく見える金髪をした、いわゆる美形だった。

 どこかの王子様みたいだと圭子は思った。


 ざわめきは収まらず、次第に大きくなってくる。担任の日向(ひゅうが)正人(まさと)35歳は気にせず教壇に立ったが、ざわざわとして収まらない教え子たちの様子に苦笑した。


「日直。号令はどうした」


 無精ひげの浮いた、どこかヨレた服装の彼が、だるそうに言う。慌てて今日の日直が、号令をかけた。


「あ、あ、はい、起立! 礼~!」


 声が裏返っていた。

 がたがたと音を立てて立ちあがった生徒たちは、礼を取ると椅子に腰かけた。

 その時、留学生の目がきらりと光り、頬がわずかに紅潮したのを、圭子は見たような気がした。


「出席を取るぞ~。休んでる奴はいるか~? いたらその隣のやつ、名前を言え」


 面倒臭そうに言う担任に、『今日は全員出席です』と、クラス委員の太田(おおた)勉(つとむ)が答えた。


「そうか。じゃ、お待ちかねの紹介だ。うちの姉妹校の、セント・Pター学院からの交換留学生。今年は三人がこっちに来た。

 ジョナサン・マクファーリーだ。んじゃ、ジョナサン、自己紹介」


 日向の言葉に、ジョナサンが前に進み出た。このとき圭子は、彼の目が綺麗な緑色をしている事に気がついた。


(うわあ……エメラルドみたい)


 きらきらのプラチナブロンド。

 神秘的な緑の瞳。

 どこか冷たく感じさせられる、整った顔立ち。


(マジで王子さま……)


 こんな人もいるんだ~、と、ぽけっとしながら圭子は思った。


「綺麗……」


 女子の誰かが思わず、といったふうに言う。

 ジョナサンは、背筋をまっすぐに伸ばした。

 そうして、きらきらのプラチナブロンドをきらめかし、

 白い頬をわずかに紅潮させながら、唇を開いて言った。


「オッス! オラ、ジョナサン! オラ日本好きじゃ、ガハハ、ダッセエ、よろしくな!」


 …………。


 針が落ちたらその音が聞こえるのではないかというぐらい、圧倒的な沈黙がその場を支配した。


「アニメとマンガで、日本語を学んだそうだ」


 日向が言った。ジョナサンは続けた。王子さまな美貌をほんのりと色づかせ、色香を感じさせるほどの表情で、嬉々として。


「ジャパニメーション、サイコウ! ニンジャ、サムライ、オラ大好きじゃ! カ~○~ハ~メ~ハ~!」


 しぐさまで、忠実に再現していた。

 誰か彼を止めてくれ。生徒たちは切実にそう思った。



終わる。



☆★☆



以前、イタリア人の美少女に、「オッス! オラ、クリスティーナ!(だったかな、名前忘れた)」と、挨拶されたと、どなたかが本に書いていて、それが強烈に印象に残ってました。


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煮詰まりました。

妙なギャグばかり出て来るのに、本編進まない。

そういう訳で、(どういう訳)BLに挑戦してみました。ただし、ゆずはらの書く物ですので、あんまり期待しないように。


『妖精たちのいるところ』キャラでBLに挑戦。
サブタイトル、「桂まゆさんデビュー良かったね記念SS」



……こんなのデビュー記念にもらっても、あんまりうれしくないかも。


登場人物

瀬尾隆志
トリスタン
触手


☆★☆


 隆志は眉間に皺を寄せ、目の前でうごめく、ぬるつく群を見下ろした。
 触手だ。
 どう見ても触手だ。それが山ほどいる。
 穏やかな日差しと緑美しい妖精郷に、それは恐ろしく不似合いに見えた。

「ってかこれ、どうしろって言うんだ」
「私の配置もよくわからないね」

 トリスタンがにこやかに言った。白い妖精の騎士は、隆志と触手を見比べた。

「鬼畜、という役所らしいが。私の役はただ、君達を見ているだけのようだ」
「見てるだけ?」
「そうらしい。見るより、する方が楽しいと思うのだがね」
「するって何を……や、良いから。言わなくて。で、何なのコレ。俺は何すりゃ良いわけ」
「そこの触手と戯れれば良いらしい」
「戯れって……」

うねうねにょろにょろずるずる。

 何かを期待するように、触手が一斉に震えた。隆志の眉間の皺が深くなる。

「ヤなんだけど」
「君が動かないと、話が終わらないよ」
「見てれば良いだけの奴は、楽で良いよな」
「私もそう思うよ。何なら、私と逃避行するかね? せっかく出て来たそれには悪いが」
「悪いなんて、微塵も思ってないくせに白々しい。放置して大丈夫なのか、これ。って言うか、何なの、こいつ」
「人の想念が凝った物さ。主に女性」

 隆志が沈黙した。次の瞬間、愕然とした風に叫ぶ。

「女の子がこんなモン、何で想像するの!?」

 おそらく、腐のつく女性たちの物であろう。しかし女性に何やら夢を抱いている隆志には、衝撃が大きかったらしい。

「はあ。まあ良いけど。でもさ、逃げられるの? なんか俺、ロックオンされてるっぽいんだけど」

 触手は明らかに、隆志に狙いを定めていた。隆志が右に動けば右に、左に動けば左に、一斉にうぞうぞとうごめく。

「この想念が生まれた目的は君だからね。ああ、大丈夫。放置しても別の誰かを区別なく襲うだけで、満足したら消えるよ」
「それじゃ、逃げられないだろ!」

 うがーっと叫んで髪を掻きむしると、隆志は顔を上げた。

「俺が相手してやりゃ良いんだな……ああもう仕方ない」
「相手をしてやるのかい」
「うん、もう良いや。考えるのめんどくさい」

 そう言うと躊躇なく、ずかずか触手の群の中に歩を進める。

 どかっ。
 ぎゅむっ。
 べしっ。

 思いきり蹴飛ばし、踏み付けながら。

「容赦がないねえ……」
「コレに容赦する必要があるか」

 どかっ!

 押し寄せた触手を回し蹴りで地に這わせると、口の端を上げ、不敵な表情で隆志は言った。

「相手してやるとは言ったがな。優しくしてやるなんて言ってないぜ」

 その瞬間。

 ぶるぶるぶるぶるっ!

 触手の群が一斉に震えた。

「何?」
「あ〜あ。スイッチ押しちゃったよ、君」

 なぜか頬を染め、トリスタンが言った。

「は? スイッチ?」
「わからなくて良いから。がんばってね」
「え……うおわっ!」

 いきなり勢いを増して押し寄せ出した触手を、隆志は蹴り倒し、踏み付けた。げしげし踏み付け、踏み付け、踏み付ける。勢いは良いのになぜか、触手たちは呆気なく倒される。
 倒されてもまた起き上がり、踏まれに行くのだが。

「まだ来るかっ!」

 どかっっ!

「しつこいんだよっ!」

 がしがしっ!

「寄るな触るな気持ち悪ィィィィィッ!」

 どけぐしゃがしっっ!

 蹴倒され、踏み付けられ、罵倒されて触手は、ふるふると震えた。

「がんばれー」

 生温い笑みを浮かべてトリスタンが言う。ぜえぜえと荒い息をつきつつ、振り向いた隆志は、ぎっと睨み付けて叫んだ。

「がんばりたくないわ、こいつら、Mかーッッッ!」

 叫ばれ、隆志の足の下で触手が震えた。心なしか、恍惚としているようだ。

「だからさっき、スイッチ入ったって言っただろう? さっきの微笑がやっぱりねえ。色っぽくて」
「俺に色気なんかあるかーッ!」
「え〜? あるよ。私でもドキドキしたもの。免疫ないお嬢さんがたには、衝撃だったと思うよ」
「何の衝撃!? 何の!?」
「蔑む眼差しに冷笑。優しくしてやれない、なんてセリフ言われたらもう……お願い、もっと蔑んで〜! って言いたくなるよ」
「おまえらの趣味に巻き込むなッ! 俺はノーマルだーッッッ!」

 げしげしげし。

 悶える触手。踏み付ける美青年。眺める鬼畜設定らしい、妖精騎士。

「なんで俺の周りはMばっかりっ! 寄るなって言ってるだろ、馬鹿触手ッ! 何が楽しいんだ貴様らーッッッ!」
「君の資質の問題じゃないかね」

 もう嫌だーッ! と泣きながら踏み付け続ける隆志に、トリスタンはぼそりと言った。だって君、なにげに女王様気質だし。

「まあ、あれだ。足の裏には、ツボがたくさんあるらしいし」
「青竹踏みかいっ!?」
「体には良いのではないかね?」
「精神には大打撃だよ! 自発的に踏まれに来る青竹の群だぞ、しかも喜ぶんだぞ、踏むと!」

 確かにあまり、見たいと思うような物ではない。
 トリスタンはちょっと、首をかしげた。
 そして、言った。

「ファイト〜」
「それだけか!?」

 何気に鬼畜である。方向性がちょっと違っているが。

「そういう奴だよおまえは! だあもう、寄るんじゃない泣くぞ俺はああああああッ!」

 げしげしげし。

「平和だねえ」

 トリスタンは微笑んだ。妖精郷はとりあえず、今日も平和だ。



fin.


※禁断の、触手受け。


そういう訳で! 桂まゆさん電子書籍デビューおめでとう(^O^)/

存在意義が健康サンダルな触手ですが、もらって下さい!

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※ 「小説家になろう」登録一周年記念として、活動報告に書いたものです。




しばらく小説を書いていなかったので、書き方忘れてしまっています。

とりあえず、リハビリ中。

……おバカさんな話は、ぽろぽろ出て来るんですが。次回予告劇場とか。

前の日記にも書いた、「いきなり次回予告」のサイトを使ったお遊びで。三人のキャラクターの名前を入れ、出てきた次回予告から、ショートストーリーを書くと言う。

すごい変な話になります。

何書いてんだ私。というカンジになります。

笑えるけど。

……。

まあ、一周年だし。記念という事で。内輪ネタSSになりますが。

『永き夜の大陸キャラで、次回予告劇場』

おヒマな方のみ、どうぞ。ただし、本編のイメージが崩れても、私は責任持ちません☆


☆★☆次回予告劇場☆★☆


「新・いきなり次回予告」サイト様から。

『時給、あるんですか』

ユーラとガイリスは遊園地でデート。お化け屋敷に入った2人はとんでもない目に…!!なんとそこにはユーラの元恋人氷玉の姿が!!恐怖のあまり声もでない2人、それを嘲笑いながら見ている氷玉。次回予告「氷玉は時給710円でバイト中」「鎖骨フェチなユーラ!!」「実は30代前半のガイリス!?」この3人の運命やいかに!?来週もみてね!!


……うわ怖。コレで話書けってちょっと(汗)


やってみよう(←


ちなみに登場人物は、

ユーラ…人族、薬師の娘
氷玉(月牙伯爵)…闇魔族
ガイリス…ユーラに従う半獣族の少年
紫忌(白男爵、人間名ローク)…人間の血を引く氷玉の弟

本編はコチラ↓

永き夜の大陸



『時給、あるんですか』


「ねえ、ガイリス。遊園地って不思議な所ね。初めて見たわ」

珍しげに周囲を見回すユーラ。

「あっ、あれは何?」
「乗り物のようですね」
「なぜカップの形なのかしら」
「お気をつけ下さい、ご主人さま。何かのまじないかもしれません。妖獣が背後にいて、乗った者の生気を吸い取って、ぐいっと飲んでしまうのかも」

遊園地のコーヒーカップに、そんな能力はない。

「でも何だか、楽しそうに乗っているわよ? 家族連れの人たちとか」
「擬態して油断を誘う妖獣もおります。ああ、あれは!」

メリーゴーランドが、くるくる回っている。

「生きた馬を細胞レベルで木質化するとは、なんと酷い! しかもそれを、見世物にするとは!」
「ええと……コレ最初から、この形に作った人形じゃないかしら……」

遊園地初心者の二人は、それでもそれなりに楽しく過ごしていた。

「まあ。これは何?」
「きゃらめるあじ、のぽっぷん? だそうです」
「美味しいわ。ほら、ガイリスも食べて」
「えっ、あっ、あのっ、……ありがとうございます(真っ赤)」

何やら初々しい。

記念のプリクラも撮り(宝物にしようとガイリスはひそかに決意した)、さて、次はどうしようと思っていると、お化け屋敷が目に入った。

「あら? 何かしら、ここ」
「よお。カップルなら入るべきだぜ、ここは!」
「あら、ローク。何してるの」

呼び込みの兄ちゃんを見て、ざあっと青ざめるガイリス。

「ひえっ! は、白だんしゃ……」
「その名を口にするな、小僧(ぎろり)」
「あああ、すみませんすみません(あわあわ)」
「ちょっと、ローク! ガイリスを怖がらせないで! それで、何をしているの?」
「ああ、すまんな(←全然済まなそうじゃない)。俺はこれでも傭兵だ。今は雇われて仕事中! そういう訳で、呼び込みをやってる!」

そんな仕事までするのか、傭兵。

「入ってくれると、ヒッジョーにありがたいッ!」
「そう? それなら入ってみましょうか……ガイリス?」
「なな何だか、すっごい嫌な予感がします……」
「え〜? 作り物だぜ、中の化けモンは。半獣なら平気だろ。なあ、お嬢ちゃん? ……? どこ見てるんだ?」
「ローク」
「あ?」
「どうしました、それ」
「あ? ああ。コレか、たいしたことない……でうわっ!?」

いきなり紫忌の胸元をがばっと広げ、鎖骨を眺めるユーラ。

「うひえ!?」
「火傷? ろくな手当てもしないで、あなたという人は!」
「いや俺、回復は人族より早いのよ、生粋の魔族ほどじゃないけど……でえっ!? 触る!? そこで触る!? よ、よせ、ちょっぴりうれしいけど、兄上に殺される〜ッ!!!」

問答無用ではだけた胸に軟膏をぐいぐい塗られ、紫忌は涙目になった。

「入るんなら入ってくれえ! そして俺を一人にして〜ッ!」
「ご主人さま……薬師として見過ごせないのはわかりますが、もうその辺で……」
「ありがとう、坊主! おまえの気遣い、年期入ってるカンジで涙出る……」



お化け屋敷の中は、薄暗かった。

「足元、お気をつけ下さい」
「ガイリスは見えてるの?」
「多少は。半獣ですので……!?」

何だ。
ものすごいプレッシャーを感じる……ッ!

「ご主人さま! 俺の後ろに!」
「えっ!? な、何……ああっ!」

バリバリバリバリ、

どっかーんっ!

「雷!?」
「きゃ…ッ!」
「ご主人さまッ!」

ざあっと走る、黒い影。悲鳴と共に、ユーラの姿が消えた。

「ご主人……ああッ!」

ガイリスは青ざめた。

「ちょっと氷玉ッ! どこ触ってるの〜ッ!!!」

ぴしゃーん!

マントを広げてユーラをさらった月牙伯爵が、胸に触ったとか触らないとかで、真っ赤になったユーラから平手打ちを受けていたからだ。



「姫。私を置いて、そこな半獣と出かけるとは……」

ぎろり。睨まれてガイリスは震え上がった。怖い。無茶苦茶怖い。

「だってあなた、太陽の出ている時間帯は、外に出られないじゃない」
「姫の為ならば、この身が焼けただれても悔いはない。一言あらば、供をした」
「燃え出すあなたを横にして、楽しく過ごせる訳がないでしょう!?」
「瑣末な事は、気にするでない」
「気になるわよ!?」
「ふ。姫は優しいな」
「普通だから私の反応は!」

そこでユーラは、はたとなった。

「待って。日中よ、今。どうして眠らないで平気なの」

氷玉は「チョー強力! 日焼け止めMAX」を取り出した。

「まあ。成分は? 何で出来ているの!?」

いきなり目を輝かせるユーラ。

「欲しいのであれば、用意させる」
「えっでも高価な薬じゃ」

氷玉は胸を張った。

「ここの『ばいと』とやらの必要経費に入っているのだ。ちなみに時給は710円だ」

……。

ガイリスは耳を塞ぎたくなった。闇魔族の誉れたる月牙伯爵が、時給ななひゃくじゅうえん……。

「働く事は大切よ。頑張ったのね」

ユーラはしかし、にこりとして言った。

「うむ。紫忌が持ってきた仕事なのだが。なかなかに興味深い」
「そうなの」
「やって来る者に、雷を落として見せれば良いだけなのでな。つまらないほどだ」
「つまらなくても、必要としている人がいるのですもの。やり遂げるのは、大切な事よ」
「うむ」

何だか良い話になっているようだ。

うなずいた氷玉だったが、次の瞬間、いきなり胸元をはだけた。鎖骨を出してくる。

「!?」

ぎゃーッ! 伯爵さま、何コートマンしてるんですかーッ!

内心叫んだガイリス。しかしユーラは動じなかった。

「どうしたの?」
「私も怪我をした」
「そうなの?」
「紫忌ばかり、ずるいではないか。薬を塗って欲しい」

なんじゃそりゃ〜! ガイリスは声に出さずに突っ込んだ。生粋の魔族が怪我なんかしたって、一瞬で治ってるでしょうが〜ッ!

「どこ?」

しかしユーラは真剣な顔でのぞきこんでいる。騙されてる! 騙されてます、ご主人さま!

「暗くてわからないわ……」
「案ずるな。われらは回復力が強い。ただ、そなたの手で触れて欲しいだけだ」
「触ると痛いでしょう? ああ、そんな顔しないで。軟膏の残りがあるから」
「それで良い」

だから騙されてますってば、ご主人さま!

「だ、」
「まあ、あれだ。気にすんな」

ぽんと肩を叩かれ、振り向くと紫忌がいた。

「男爵さま」
「気にするだけ負けだ。ハゲるぞ。あれはあーゆーモンなんだと思っとけ」
「……そうですね」

ガイリスは深いため息をついた。

「バカップルにツッコミ入れても虚しいだけですものね……」
「すげえしみじみ言ったな。哀愁漂ってんぞ」
「ふふふ。ご主人さまはわが道を行かれるし、伯爵さまは俺様だし、間に挟まれた俺は、俺は、神経擦り減らすのが日常なんですよッ。今日は、今日だけは気楽に過ごせると思ったのに……」

ああ、でも俺には、このプリクラがある。うなだれてそうつぶやくガイリスに、まるで悲哀に満ちた中間管理職のようだと紫忌は思った。疲れて仕事から帰ってきて、一人でぽそぽそご飯を食べる、リーマンのお父さんのようだ。



とりあえず、生鎖骨を触ってもらって、氷玉は満足したらしい。バイト代から、記念キーホルダーやら、イチゴ味のチュロスやらを購入し、満足そうにユーラに貢いでいた。

一日限りだったえらいイケメンと、めちゃめちゃリアルな雷の演出は、その遊園地でその後、伝説になったという。


Fin.

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ゆずはらしの

Author:ゆずはらしの
「小説家になろう」にいくつか小説を上げています。

公民館で絵を教えています。水彩画。

紅茶、ハーブ、アロマなどが趣味です。でも手際はあまり良くない。お茶は淹れられるんだけどね。お茶はね!

思いだしたように記事を増やしてゆく予定。

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