2017 / 11
≪ 2017 / 10 - - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 - - 2017 / 12 ≫

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

古くなった紅茶の茶葉があったので、

ほうじ茶風に、火を入れてみた。

ティースプーン二杯分を、耐熱の皿に入れて、

オーブントースターで軽く焼く。

熱くなった茶葉を、ポットに入れて、湯を注いだ。

茶葉が開くのを待っている間、思い出したことがあった。



☆★☆



四月に、小学校にカードを持って行った。

わたしの通っている教会で、イースターに、子どもの集会を予定していた。そのために、案内をまきに行ったのだ。

今年のイースターは、四月二十四日だった(イースターは毎年日付が変わる)。

案内の知らせは、カードの形で、手作りする。五百枚。

三月中、ずっと作り続けていた。

中に貼る案内は、イラストの上手な人に頼む。

色画用紙を切って、パソコンで取り込んだ写真を加工して貼り、ケーキなどの下に敷く、レースペーパーを切って、

模様のように貼りつける。

おまけもつける。小さな絵本のようなミニカードを作り、それをぺたりと貼る。

ミニカードの中のメッセージは、中学生の女の子二人が考えてくれた。


「悲しい子がいるかもしれない。昨日、大事なペットを亡くした。友達が遠くに転校した。

両親が離婚したり、だれか家族を亡くしたという子もいるかもしれない。

そういう子に、届くように。ひとことを考えてくれる?」


そう言うと、真剣に考えて、十二枚のイラストとメッセージを描いてくれた。



『空がどうして青いか知ってる? それはね。神さまが、君に笑顔になってほしいからだよ』

『I LOVE YOU! 君に、この言葉がとどくように』

『君はね。愛されるために 生まれたんだよ』

『神さまはね。ずーっとずーっと 君が大好き』


そのイラストとメッセージをパソコンに取り込んで、五百枚分印刷し、切り分けて、

カットした色画用紙に貼りつけて、ミニカードにする。

これを作っておいた五百枚のカードに、おまけとして貼りつけてゆく。

手作りなので、五百枚作るのが限界だ。



出来上がったものを、手分けして、二つの小学校に持って行った。

毎年カードを持って行くので、楽しみに待っている子どももいる。

一度、学校の先生にお礼を言われた。綺麗なカードなので、先生もうれしかったらしい。

文句を言われたこともある。

小学校の関係者や、保護者からではない。教会関係者からだ。


「子どもに何かわかるわけがないだろう。コピー渡しときゃ良いのに、面倒なことをするな」


何度も言われ、そのたびに、「これは重要なことです。やめません」と貫いてきたが、

おかげで「問題を起こす人間」扱いされた……。

それでもやめなかった。ひたすらやり続けた。時には一人で五百枚作った。

今でも言われる。

けれどその声は小さくなった。

教会近隣に住む保護者の方からの信頼が、大きくなってきたからだ。

何だか良くわからないうちに、やってくる子どもの数が増えて、

お知らせ代わりに渡していたニュースを読む人も増えていた……らしい?

ねばり勝ち?



それはさておき。



今年、カードを持って行くと、いつもと違う所があった。

綺麗に作ったカードは、子どもも喜んでもらって帰る。けれど、毎年、何枚かが道に捨てられている。

それを最後に拾い集め、学校周辺のゴミにならないよう配慮して帰るのだが、

今年はいつもの倍。十五枚近くが捨てられていた。

それも、普通の捨て方ではない。

びりびりに破かれ、細切れ状態にして、道端にぽいと放り出されている。

なかには明らかに、靴で踏みつけた跡のあるものもあった。


「不安定なんだな、子どもも……」


それを見て、思った。

震災があって、いろいろ情報が錯綜して、

誰もが神経を張り詰めて、どこかぴりぴりし続けている。

その空気を、子どもたちも、もろに受けている。

地震のある地方ではない。

それでも、ぴりぴりした空気を。感じ取り、受けてしまうのだ。

そこから感じ取る恐怖や混乱。それに対する鬱屈や受けてしまう圧迫感。

その全てが、フラストレーションになって、イライラになり、

何かにぶつけたい。八つ当たりをしたいという気持ちになる。

自覚のないままに。

引き裂かれた十五枚のカードは、そうした子どもたちの心の叫びだ。

捨てるだけなら、くしゃっと丸めれば終わるのに、

わざわざ念入りに引き裂いて、足で踏みつけて跡を残し、めだつ所に置いてゆく。

その行為の裏を考えると、声にできない叫びが、子どもの体中にたまって、

破裂しそうになっていたのだろうと思われる。

いつもより多いと言うことは、それだけ圧迫を感じている子が多いということ……。



震災の影響は、被災地だけでなく、

身近な所にも出ているのだと、

捨てられたカードを拾い集めながら思った。


どうか、

この子の心がなぐさめられ、

安らいで、

新しく歩き出す、力を得ることができるように。


そう祈った。



☆★☆



カップに注ぐと、ほろ苦い、ほうじ茶風の紅茶。

香ばしい味をゆっくり飲んだ。

火の入った茶葉はなんだか、どこかが暖かい。

古くなっても、

古くなったからこそ、

新しく命をもらって、自分なりの味を出している。

そんな気がした。

茶葉を育て、摘んで、

加工して、わたしの手元に届けてくれた、全ての人から、

力をもらった。そんな気もした。


ありがとう。


この言葉を、日々忘れずに。つなげて行きたい。

お茶にも。道具にも。

カードを破った子どもにも。

君の小さな叫びがあったから、

不安定な子どもたちに気づけたよ。

君の心に光があるように。

どんな道を行くことになっても、

君が支えられるように。今も、祈る。


スポンサーサイト

web拍手 by FC2

この記事へコメントする















ゆずはらしの

Author:ゆずはらしの
「小説家になろう」にいくつか小説を上げています。

公民館で絵を教えています。水彩画。

紅茶、ハーブ、アロマなどが趣味です。でも手際はあまり良くない。お茶は淹れられるんだけどね。お茶はね!

思いだしたように記事を増やしてゆく予定。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。