2017 / 06
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ネヘミヤ。旧約聖書に出てくる人です。

現在、中学生対象に、毎週テキスト書いているのですが。ずっと旧約聖書をやっていました。

紀元前7世紀の人ですね。破壊されたエルサレムの町を再建した人で、その関連から、建築関係の会社の名前になっていたりします。

で、なんでこんな所に書いているかというと、

テキスト作って持っていったのに、部活で中学生が来なかった。

仕方ないので、もう一人の先生とテキスト読みました。な、ことがあった為です。だって、せっかく作ったのに! なのに人がいないって、悲しかったんだよ!


* * *


そういうわけで、ネヘミヤ。

調べれば、面白ことがいろいろ出てきました。

当時の状況は、北イスラエルが滅び、南ユダもバビロニアに滅ぼされた状態です。(イスラエル王国は、厳密には、北イスラエルと南ユダの連合王国で、十二部族が別れて住んでいた。対外的には、どっちもヘブライ民族と呼ばれていた)

そのバビロニアも、ペルシャに負けました。

ヘブライ民族は、戦争に負けて属国扱い。知識層が根こそぎ他国に移住させられました(バビロン捕囚)。国に残っているのは、あんまり役に立たないとみなされた農民とか、貧民。その状態で、支配国がころころ変わっているわけです。

ネヘミヤは、そんな中、ペルシャの役人になりました。

相当、有能な人だったみたいです。普通、重要な役職は、支配国の民族が独占するものです。なのに、敗戦国出身の彼が役人になってるって、かなりの運と実力と覚悟が必要です。

実力は最低限の条件で、運も必要。覚悟が必要、というのは、ねたみから暗殺される確率が、敗戦国出身の人の場合、はねあがるからです。

同じ民族なら許せることが、敗戦国の民族なら、許せない。

俺たちに負けた国の人間のくせして、俺たちより高い地位につくとは何事だ。

後ろ盾もないのだし、暗殺してしまえ。

……こういうことが起こります。

聖書では、そういうことは一切書かれていませんが……、少し考えれば、ネヘミヤの置かれていた状況がどれだけ厳しかったか、というのは想像がつきます。

彼は最初、王の毒見役をしていたようです。ワインを先に飲んで、毒による暗殺を防ぐ係です。

なにかあったら、王の身代わりで真っ先に死ぬ役目です。そのためか、ペルシャ王からは厚く信頼されていました。


* * *


ある日、ネヘミヤは、祖国のうわさを聞きます。

バビロニアにより、破壊されたエルサレムの町。その町が、百年以上たった今でも、廃墟のまま放置されている、というのです。

彼は愕然となります。

このときのネヘミヤが感じたショックというのは、海外に移住した人のことを考えるとわかりやすいと思います。

外国に移住した人は、だいたい、二つの方向に進みます。その国の文化を受け入れ、完全にその地の人間になろうと努力するか、

元の故郷の文化を忘れず、それを固持し続けるか。です。

戦前に海外に移住した日本人は多くいました。現在も、彼らの子孫がそこに暮らしているわけですが、その子孫は、日本語がわからない、文化も知らないタイプと、日本の古い風習などを良く知っていて(どうかすると今の日本人よりくわしい)、それを自分の子どもにも伝えようとしているタイプがいます。

どちらが良いとか悪いとかいうのではなく、その時代、その国で、そのときそこで生きていた人が、生きる為に選んだ結果、そうなったわけですが。

ネヘミヤたちもそうでした。

バビロニアに強制的に祖国から連れ出され、帰ることも許されず、世代を経ているうちに、祖国を忘れよう、バビロニアに同化しようとする者もいれば、

忘れないように、祖国の物語を必死で伝えようとする者もいたでしょう。

ネヘミヤは、年齢からして、祖国を見たことがなかっただろうと思われます。

暗殺の危険はありましたが、王から信頼され、身分も保証されていました。

しかし敗戦国の出身、ということで、また、高い身分を得たことで、陥れようとする人、足を引っ張ろうとする人はずっといたはずです。彼の後ろ盾は、王からの信頼のみです。ペルシャの貴族たちと、血縁関係がなく、親戚でも何でもない存在なのです。

王の信頼を失えば、彼に遠慮する者はいないでしょう。即座に暗殺されてもおかしくありません。

その重圧を払いのけるために、誰からも文句を言われないよう、より高い能力を示さねばならず。

ずっと示し続けなければなりませんでした。ストレスは相当なものだったと思われます。

それでも彼ががんばったのは、自分が身分を得ることで、奴隷となった同胞に、少しでも何かできれば、という義務感のようなものがあったからでしょう。

戦に負けた時点で、多くの国民が奴隷になっています。貴族階級でも、どうかすると奴隷にされます。

そうして古代の世界では、一度奴隷にされれば、復権はおそろしく難しい。支配国が変わっても、奴隷にされた人は奴隷のまま、というのが当たり前です。何かよっぽどのことがない限り、自由民にはもどれません。

そんな中で身分を得たものは、同胞をなんとかしてやらにゃー、という義務を負うわけです。

ネヘミヤ記を読んでいて思うのは、

「このひと、A型気質だ」

きっちりしていて、義理堅いというか。長男気質と言うのか。まじめさんです。

それはともかく。

そうやってがんばってきたネヘミヤにとって、自分を支えるものは、

祖国の美しい物語だった、ということです。

見たことのない祖国。

ほとんどファンタジーのように、彼は聞いて育ったでしょう。

はるか昔の王さまや、英雄の物語。神殿や町の美しさ。子供の彼に語った大人たちも、その美しさを強調していたでしょう。

帰りたくても帰れない。その状況にあればあるほど、思い出は美しくなるものだからです。

実力があっても認められない、何かあれば悪口雑言たたかれる、その状況で出世すると、ねたみから足を引っ張られる。実力を見せ付けないといけなくなる。さらにねたまれる。ストレス。またストレス。

それでも、子どものころに聞いた、美しい物語があった。祖国という夢があった。

それがあったから、彼は、自分を支えることができ、がんばることができたのではないか、と思われます。

そんな彼が、廃墟のまま、放置されている祖国の話を聞けば。どれだけショックを受けるかわかると思います。

心の底で大切にしていた、宝物のような場所が、踏みにじられたような思いだったでしょう。




……長くなったので、ここでちょっと切ります。掃除の話まで行き着けなかった。

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ゆずはらしの

Author:ゆずはらしの
「小説家になろう」にいくつか小説を上げています。

公民館で絵を教えています。水彩画。

紅茶、ハーブ、アロマなどが趣味です。でも手際はあまり良くない。お茶は淹れられるんだけどね。お茶はね!

思いだしたように記事を増やしてゆく予定。

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