2017 / 09
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 スタジオジブリの「借りぐらしのアリエッティ」、観て来ました。
 ……ううう~んんん……。

 いや、悪くはない。悪くはないんですが。
 何だろう、この、「もう少しがんばりましょう」みたいな意識が残る、終わった時の感覚。
 悪くはないんだけどなあ。
 なぜか、「これだけ?」と言いたくなってしまうと言う?


 つらつらと思い返している内に、気がついた。
 空間が出来てない。
 宮崎アニメ(駿監督の作品)では、必ず、要所要所にはさまれる、心象をふくめた空間の表現。それがなかった。
 千と千尋、での花の乱舞する庭、広がる海。水の空間。
 ハウル、での霧の荒野、飛翔する魔術師たちの空。
 もののけ姫、での逃げようと走る草原、戦おうとした時の森、荒野。
 そこにあるものを見る時、それだけでなく。そこにいて、見ている人の、心象=感情、心の動きまでふくめて、宮崎 駿監督は空間を形作り、表現している。
 アリエッティに、それはなかった。
「広い」とか、「大きい」とか言うセリフはあったが、そこに描かれるものは、あくまで常識の範囲内の、日常的にある風景。
 アリエッティ自身の感じた心の動き、恐怖や好奇心、などといった感情を交えて見えた風景や、ものの見方ではなかった。


 あと、宮崎アニメでは、水の表現が、異世界につながってるんじゃないかと思うぐらい、徹底して美しい。水を通して空に、異次元世界に、すぽーんと抜けて行ってしまえるんじゃないかと思えるほど、透徹で、しんとして、ただそこにあり、全てを飲み込み、在り続ける、そんな「水」が出る。
 これもなかった。
 川や池は出てきたが、それはあくまで風景の一部としての川であり、池に過ぎず。異世界にひょっこり行けちゃうんじゃないかというような、どーん! とした水がなかった。

 残念。

 最も、宮崎監督がコンテから何からやっちゃうと、変な現象が起きるのだが。関連商品は売れるけど、原作は売れないという。
 多分、監督が原作を素材として、登場人物の心象風景を映像化し、別の世界にまでつきぬけちゃうような、練りこみ、作りこみをするからだろう。それを考えると、アリエッティの作り方は、ある意味「正しい」のかもしれない。
 観ている人間は、「もうちょっとなあ……」といいたくなってしまうが。悪くはないんだ。本当に。でも、もうちょっとなあ……。


 以前、私は絵について「個人的な」事を突き詰めたようなもの、と書いたが。宮崎アニメも同じ部分を持っている。
 監督が作るものは、原作を非常に「個人的な」読み方、見方をした作品であり、徹底して「個人的」にこだわって作っている。
 だからこそ、時代を超えてしまう。
 なぜなら普通、一つの物事を「個人的に」突き詰める作業なんて、人はしない。「それなり」「適当」で、「こんなものだろう」と自分を納得させて流す。
そうしないと、情報量が多すぎて処理しきれなくなる。日常生活に支障が出てしまうのだ。
 それを、彼は。風の流れ方、匂い、いろづいて感じられる感覚から、土のかたち、匂い、肌触り、聞こえてくる鳥の声、木々の葉ずれの音、足で大地を踏んだ感覚、風を受けた手、腕、頬の感じ、目にうつる色の変化、心の浮き沈みによって見える色彩の入れ替わり……まで。徹底して記憶して、掘り起こして再構成しようとする。
 宮崎監督がやっているのはそういう事で、だから非常に「個人的」であって、同時に「とんでもなく凄まじい」作業なのだ。
 だから見ていると、その世界に酔える。


 宮崎 駿監督の作品作りは、真似しようとしてもできるものでもないが、とても参考になる。自分自身の作品を作ろうとするときに。
 世界を構築するとは、ここまで妥協しない事なのかと、思わせてくれる。
 彼に原作を使われる事は、はっきり言って、彼に作品の大切な部分を盗まれる事でもあるのだが。それでも良いや~、だって作った私より良い作品作って見せてくれるんだもん! と言ってしまえるものがある。いや、使われた作家が全員、そう思っているかどうかは知らないが。
 でも徹底して自分の作品を突き詰めて、煮詰めて、読み込んでくれて。再構築したものを広げて見せてくれるのだ。悔しいと思う反面、うれしいと思わなければ、作家じゃないだろう。ここまでやってくれたのか! と思わされるはずだ。
 いやもう、個人的なもの万歳。
 体調を崩されたりしていないかなあ。また絵コンテ切って作品作ってくれないかなあ。
 私の小説で、作品作って遊んでもらえないかなあ。
 ……と、思ってしまった。無謀?
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ゆずはらしの

Author:ゆずはらしの
「小説家になろう」にいくつか小説を上げています。

公民館で絵を教えています。水彩画。

紅茶、ハーブ、アロマなどが趣味です。でも手際はあまり良くない。お茶は淹れられるんだけどね。お茶はね!

思いだしたように記事を増やしてゆく予定。

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