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遅れていたレポートを、さっき送信し終わった。次は別の勉強。

レポートを書いているうちに、思いだした事があった。

想像力について。だと思う。

想像力の不足した人が最近、増えている。特に、十代の若い人。

人との関係が築けない。常に一対一の関係しか見えず、それ以外があると理解できない。人との関係は常に自分と相手だけ。それ以外がある事がわからないので、一対多の関係がわからない。わからないから、そこから何が派生するかなど、考える事もない。


☆★☆



父親と母親、小学生の子ども二人という家族が、込み始めたレストランに入った。小さな店だ。ウェイトレスは一人。店の責任者が調理をする。もう一人手伝いがいるが、その人は厨房を手伝っていた。客の相手は実質、ウェイトレス一人に任されていた。

高校生ぐらいの少女だった。アルバイトの店員らしかった。

家族は、あいていたテーブルに座る。これをAの家族とする。

隣の席には、同じような年齢の夫婦と、やはり同じような年齢の二人の子どもが座っていた。こちらはBとする。

ウェイトレスがやってきて、注文を聞いた。Aの注文も、Bの注文もである。合計八つの料理の注文された。

やがて、一つの料理が出来上がった。彼女は料理を運び、

Aの家族が注文した料理を、Bの家族のテーブルに運んでしまった。

ままに、ある事だ。人間なのだし、間違えることはある。しかし、彼女のそれからの対応は、実にまずかった。

Bの家族は、お腹がすいてイライラしていたのだろう。父親が、「うちの注文と違う!」と怒鳴った。ウェイトレスは慌て、謝った。そうして料理を下げた。

それから彼女は、料理を運ぶ事を放棄した。

怒鳴られた事で、恐怖を抱いたのだろうか。一時間。彼女はA、B、どちらの家族にも近寄らなくなった。合図をしても無視する。料理が出来上がっても運ばない。

八つの料理がどんどんさめてゆく。その間も、新しい客が来ては、食事を頼み、運ばれた食事をもらい、食べて店を出てゆく。

どちらの家族もイライラしてきた。特にBの家族の父親は険悪な顔になっていた。無理もない。お腹をすかせた小学生二人をかかえ、それをなだめながら、自分の空腹も我慢しなければならないのだ。しかも、合図をしても無視される。と言うより、ちらちらとこちらを見ているのだが、目が合うとさっと顔をそむけて、見ないふりをされるのだ。その間も新しい客が来ると、そちらにはちゃんと料理を持ってゆく。

何の嫌がらせだ。

二組の家族がそう思ったとしても、無理はない。

ついに、Aの家族の母親が切れた。何度か声を上げてウェイトレスを呼び、それでも来ないと見てとると、

立ちあがって、厨房に乗り込んで、店の責任者に話をつけに行った。

とは言っても、そんなきつい事を言ったわけではない。あくまで常識の範囲内の口調で、自分たちは一時間料理を待っていること、それなのにまだ料理が来ないことを言った。ウェイトレスが無視している事は、言わなかった。まだ高校生ぐらいの少女だったので、気の毒だという意識を持ったのだろう。「何度か呼んだんだけど、聞こえなかったみたい。忙しいし、仕方ないわね」とだけ言った。

しかし、彼女は、そうした気づかいも台無しにした。

話を聞いた店長は驚いた。そりゃそうだろう。慌てて自分の作った料理を見ると、さめてしまった料理が八つ、カウンターに置きっぱなしになっている。Aの母親に平身低頭して詫びると、席に戻ってくれと頼み、続いてウェイトレスを呼びつけた。

そうして、客に料理を持って行けと言った。

当たり前の行動である。料理を注文している客がいるのに、持っていかないなんて、レストランではあってはならない事だ。店長は、ごく普通の要求をしたに過ぎない。

しかし、彼女は、聞いたとたんに叫んだ。

「嫌です! 持って行きたくありません!」

恐怖と嫌悪の響きが、はっきりとあった。しかも遠慮なく叫んだものだから、店の中にいた者全員の耳に届いた。

怒鳴られた事でパニックを起こしたのだろう。それはわかる。

恐怖をいだいたのだろう。それもわかる。

けれど、自分のやるべき仕事=注文をきいて料理を運ぶ事を放棄して。呼ばれても無視していたのは彼女である。

注意なり、何なり、されるのが当たり前だ。

行動には結果が付いてくる。行動したなら、結果を引きうけるのは自分自身。それが当たり前である。

なのに彼女は、頭からそれを拒否した。

彼女にとって、この八人の客は、モンスターのような存在になっていたのだろう。頭の中で。

見ないふりをしている内に、どんどん怖い存在になってしまったのだ。

だから余計に無視した。はやく消えてほしい、いなくなってくれればありがたい、それだけを念じていた。この八人の客は彼女にとって、そういう存在でしかなかった。

黙って見ないようにしていれば、いなくなってくれるだろう。

それでとにかく見ないふりをし、考えないようにして、近づかないようにしてきたのだ。

なのに、店長はそこへ行けと言う。

ひどい!

その時の彼女の心境はそんなものだっただろう。だから叫んだ。拒絶した。

しかし、考えてみてほしい。この彼女の行動で、どれだけの人に迷惑がかかっていたか。

二組の家族は、空腹を一時間も耐えさせられた。

調理した人間の努力は、台無しにされた(どんな調理人だって、出来立てを食べて欲しいものだ。料理はさめきっていた)。

叱られると気の毒だと、気遣った客の思いも踏みにじった。

ちなみに四人の小学生は、限界を超えて、無口になっていた。お腹がすきすぎて、何か言うだけの気力もなかったのだ。悲しい顔で座っていた。……それも、彼女には見えなかったようだ。店にいる客全員に聞こえるほどの声で拒絶した、その言葉も子どもたちは聞いていた。子どもにとって、そのような言葉を聞かされるのは、かなり痛い。見知らぬ相手であっても。一番小さな子どもは、明らかにショックを受けていた。

なのに彼女には、何も見えていなかった。

ただただ、思いのままに叫んだ。拒否した。

店長はあぜんとした後。きっぱりとした態度で、運べ、と命じた。すると彼女はさらに言った。

「絶対嫌です! ひどい!」

何がだ。俺は当たり前のこと言ってるだけだろう。

店長はそう思ったに違いない。彼女をしかりつけた。

「バイトでも、お金もらって仕事しているんだろう。責任持って働け!」

彼女は泣きだした。それでも店長の態度が変わらないと見てとると、ぶるぶる震えながら、さめた料理を運んできた。



☆★☆



実話である。この時のAの家族の小学生の一人が私。

泣くほどイヤなのかい、私たちに料理運ぶのは。と、子ども心に思った。間違えたのなら、確認にきたら良い。慣れていないので間違えたと、わびてから確認すれば、すぐにどうにかなったのだ。

なのに彼女は、無視する事を選んだ。

問題が起きたのを認めたくなくて、目をそらし。見ないようにしているうちに、問題がなくなる事を期待した。

その結果、前よりもっとひどい事になった。

彼女には、想像力が著しく欠けていたのではないかと思う。いつも誰かがどうすれば良いか指示してくれて、それに乗っかって生きて来たのだろう。自分で何かを考えるという事がなかった。だから、思いもよらない事が起きた時、無視して見ない、という方法を選んだ。

たぶん、今までは、そうしていれば、誰かが何とかしてくれたのだろう。

びくびくしながら無視していた、高校生の彼女の姿が、今も思い浮かぶ。私よりずっと年上なのに、あんまり賢くない人なんだなあ。と、その時は思った。

ウェイトレスが客に料理を運ぶのを拒否し、はっきりわかるほどの大声で嫌だと叫ぶなんて、店にどれだけ打撃を与えるか。噂の流れるのは早い。悪い噂があれば、客は別の店に行く。さらに怒った客が訴えたりしようものなら、即、閉店になる。

はっきりこう考えたわけではないが、そのような事を考えた。……小学生にもわかる事だ。

なのに彼女の頭にあったのは、

「私が叱られるのは嫌だ」

これだけだった。

客がどんな思いをしているのか。お腹のすいた四人の子どもがどんな顔をしていたのか。それを見る両親が、どれだけ心を痛めていたか。そうしたものが、一切見えなかった。

彼女にとっての世界は、あくまでも自分だけのものであり、自分と相手、一対一だけのものだったからだ。他は存在しない。だから見えない。

このあと、料理を食べた私たちは店を後にした。レジの係も彼女で、目をそらされた。

店を出ると、後ろで騒ぎが起きた。

「お帰りになった!? なんで知らせなかったんだ!」

店長の声だった。迷惑をかけた客に、お詫びをしようと思っていたらしい。

「そんなの、知りません! 言われてません!」

叫ぶ彼女の声。

「迷惑かけた客には、謝るのが当たり前だろう! なに考えてるんだ!」

店長が店から走り出てきた。この時点でもう、うちの両親は店長が気の毒になっていた。おなかも一応いっぱいになっていたし。

「もう良いですから。料理は来たし、食べれたし。食べた分は支払うのが普通でしょう」

料金を返すという店長に母が言い、父もうなずいた。店長、ばっと頭を下げて、すみません! と叫んだ。

「気にしてないわ。また来るから」

そう言った母に、店長、何度も頭を下げていた。

ちなみにウェイトレスの彼女からは、最後まで謝罪はなかった。次に行った時にはもういなかったが、あのあと、どうなったのだろう。



☆★☆



想像力が欠けると、こんな事になるの実例。見るべき事も見えなくなる。

彼女は最後まで、自分を被害者だと考えていたのではないかと思う。

被害者だから、謝罪するという所に頭が行かない。何を言われても、理不尽だ、と思う。だって、自分は被害者で、可哀想な存在だから。

……別な意味で、可愛そうではある。確かに。

これは私が子どもの時の思い出だが。こういう人が増えている。そんな気がする。

目をそらしていれば、問題が解決するなんて、そんなことはない。

もっとひどくなる。

なのに、考えるな。流されていろ。目をそらせ。そう言う人の、どれだけ多い事か。

頭、使おうよ。

想像力、鍛えようよ。

とりあえず、そう思う。






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ゆずはらしの

Author:ゆずはらしの
「小説家になろう」にいくつか小説を上げています。

公民館で絵を教えています。水彩画。

紅茶、ハーブ、アロマなどが趣味です。でも手際はあまり良くない。お茶は淹れられるんだけどね。お茶はね!

思いだしたように記事を増やしてゆく予定。

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